コラム
2016/08/30
排水こう配に必要とされる「傾き」と 「流下速度」についての豆知識
排水管には、排水をスムーズに流すために“こう配”が設けられています(『勾配』と表記されることもあります)。水は高いところから低いところへと流れるので、横引きの排水管は少し傾けて施工されます。何となく知っている方もいらっしゃるかと思います。
排水管には横引きの長さが長くなると、この“こう配”が必要なため、床下に多くの空間が必要になってきますので、厄介な存在として扱われることも多いようです。
「水回りを設置したいのに、近くに排水管が無い」、「床下の空間があまりなく、こう配が取れない」などといったお悩みをよくお聞きします。
そこで、遠くの排水管まで、ポンプの力で排水に圧力を掛けて送り出す(圧送)小型の圧送排水ユニット「スマートポンプNシリーズ」が活躍するわけですが、本製品までの間の排水管にも、やっぱり“こう配”が必要です。
時々、「50Aの配管径でも、こう配1/100あれば十分でしょ?」とお問い合わせいただくことがあります。確かに、‘きれいな水’は流れてくれますが、排水管はそうではありません。洗面化粧台や浴室などでは、顔や身体だけでなく、いろいろなものを洗います。例えば、手についた泥はどこで洗いますか? つまり、排水管の中は、汚れを含んだ水(排水)が流れていくのです。
では、この“こう配”はどれくらい傾けると良いのでしょうか。 1/50? 1/100?
必要なこう配は、配管の径によって違います。具体的には、100Aや75Aでは1/100以上、65A以下では1/50以上とされています。
汚れを含んだ水(排水)をスムーズに流すために、排水の流れるスピード(流下速度)は‘ある程度’が必要とされ、その速度は0.6m/s以上とされています(流下速度が速すぎても、汚れを流せないため1.5m/s未満と上限もあります)。流下速度が遅いと砂などが排水管内に取り残されて堆積し、ついには配管が閉塞(詰まる)してしまうことにもなりかねないためです。
つまり、配管径50Aで、こう配を1/50以上とした場合は、長さ1m(1,000mm)の配管で、上流側と下流側では2cm(20mm)以上の差があるように傾けておくことを意味しますが、同時に、流下速度0.6m/s以上も確保できることも意味しています。
配管径が75Aや100Aになると、こう配1/100以上でも、0.6m/s以上の流下速度を確保できます。
ですから、こう配を1/100にしたいからといって、必要もないのに管径を太くする必要は無いのです。
“こう配”の基準とその意味を知り、最適な設備設置にお役立てください。
スマートポンプジャパンの圧送排水ポンプユニット「雑排N [ZA-100N]」。
一般オフィスの給湯室や洗面所向けで、雑排Nシリーズの普及モデルです。
豊富なラインナップを揃えており、最適な製品をご提案いたします。